着物

アフリカンファブリックの着物をミシンで作ってみました

こんにちは。
きものハナオムスビの栄里です。
プロフィールはこちらから。

アフリカンファブリックで着物を作りました。
ミシンと手縫いで自作です。
その工程をご紹介します。

ミシンで着物を作るきっかけ

ミシンで着物を作りたい!それは突然降りてきました。

今年7月に本屋でやまもとゆみさんの「ミシンで着物 綿・麻・浴衣」という本を手に取ったのです。

この本の存在は前から知っていましたし、これを読んで着物を作ったという友人もいます。
でも自分が作る事は頭にはなかったのです。
和裁経験は5年ほど前に浴衣を縫うために和裁教室へ数ヶ月通ったのみ。
長い布を手で縫うのは苦手に感じ、それきりになっていました。

昨年からミシンを使って服やバッグを作るようになり、ミシンでならちゃちゃっと縫うことができるかも、と興味が出て本を買ってみます。(それは大きな間違いと後になって気づきます)

木綿の着物なら浴衣としても着られるし、夏の間に作ってみよう、と決めました。

着物用の生地選び

ミシンで作る着物に必要な生地は着物用の反物ではなく、洋服地の幅110cmのものが5m必要です。(90cmだと6m)
素材は木綿か麻が推奨されています。

まず大きな生地屋さんに見にいったのですが、ナチュラル、ポップなテイストが多くてピンとこない…
妥協するよりは、せっかく作るなら気に入った生地で作らないと着ないしもったいないと、好きなアフリカンファブリックで作ることにします。

アフリカンファブリックはネットでも結構販売されています。
注意すべきは単位長さです。
1ヤード(90cm)単位での販売であったり、長くても4mまでしか買えなかったりとお店によってちょっとずつ違いますが、5m以上の生地があまり無いのです。

気に入った生地を注文するもやはり4mまでしかなく、本の型紙の部分を何度も読んで3m+4mの計7m分を購入しました。

水通し

身に着ける生地はまず水通しをします。
木綿や麻の生地は洗濯可能であるとともに、洗濯で縮んでしまいますので、予め水に通して縮めておきます。

洗面台に水を張って1時間。
その後軽く脱水して、少し乾かしたらアイロンをかけて布目を通しておきます。
長くて大きな布をアイロンかけるのはなかなか重労働です。

型紙を写して裁断

付録の型紙では少し身幅が足りなかったので少しサイズの変更をしました。
”やまもとゆみの標準Mサイズ”からヒップを+6cm。
身丈はそのまま、裄は身幅を伸ばしたことで+1.5cmになりました。

型紙をハトロン紙に移し、生地に載せ、生地を裁断していきます。
全工程の中でこの生地を裁断するのが一番難しいと感じました。
まず、型紙が布目に沿って載せられているのか、まっすぐ布を切れているのかが分からないのです。(おそらく洋裁の基礎部分ですよね)
この作業で少し寸法が変わってしまうし、布目が少しでも斜めになると着心地に影響するなあと思いました。

縫う前の準備ができました。


広い部屋でないとこの作業はできませんね。
家具をどかしてフローリングでの作業はかなり大変です。

生地を縫う

やっと縫いの作業です。
ミシンでガーっと縫うだけど思いきや、意外と手縫いもありました。

まつり縫いという表から縫い目が響かない着物ならではのこだわり部分が何箇所かあり、ここに時間がかかります。
あと、どこのパーツをのことを言っているのか、布のどちらを縫うのかよく分からない部分があって、洋裁初心者、着物初心者さんには難しい部分もありそうです。

体感ではミシン6:手縫い4
まつり縫いの箇所は 袖、振り、裾、襟

ミシンと手縫い併用で縫っていきます

袖が縫えました。

次に身頃部分を縫います。
背中と脇、おくみを縫っていきます。

この状態で着るとどこかの民族衣装のようです。

襟をつけ、袖をつけたら完成です。

実は襟の布を多く切りすぎていました。1枚でいいところを2枚ずつ。
ちょっと生地を無駄にしてしまいました。

着物が完成

早速着てお出かけしました。着物は着てこそです。

生地で見ているだけだとちょっと男っぽいかなあと思ったのですが、着て帯を合わせたらなかなか良い!

そして着るとサイズの微妙な不具合が分かります。
実は身丈がちょっと短く、裄は長く仕上がってしまったのです。

<予定>
身丈 164cm
裄 67.5cm

<仕上がり>
身丈 163cm
裄 69cm

その他は予定通りできました。

おくみ 15cm
前幅 25cm
後ろ幅 30cm
袖丈 49.5cm
衿幅 7cm

衿幅は予定通りでしたが実際着付けると広く感じたので、もし次回作るなら6cmにするかな。長襦袢の襟に着物の襟がなじみにくいなと思いました。

このアフリカンファブリックは目が詰まっているので、そんなに涼しくはないです。
風合いは綿コーマの浴衣に近くてもう少し薄くてしっとりしている感じ。
長襦袢はいちりんさんのさらりを着ているので、思ったよりは暑くはなかったのですが、季節的にはもう少し涼しくなってから着たいです。

着物と帯のコーディネート

この主張の強い着物にどんな帯を合わせるのか、手持ちの帯でコーデやってみました。

基本的に無地は合わせやすいです。

白ならばなおスッキリ見えます。

あとはデザインや色が強いものをあえてぶつける。幾何学模様、エスニックなものは合わせやすいですね。

左:インドシルクの名古屋帯
中:リサイクル八寸名古屋帯
右:ポリエステルの市松名古屋帯

はんなりや古典柄はちょっとテイスト違うかなと。

好きなものを集めていたら必然的にコーデも纏まっていくので、自分のためのおしゃれであれば、ひたすら好きなものを集めていけば良いですよ。

ちなみにこちらは夫の浴衣。


これもアフリカンファブリックです。
こちらは和裁士の友人に縫っていただいていますので、おそらく一度反物幅に裁断してから和裁の技術で縫われています。まっすぐの線が多い着物は反物幅からの方が縫いやすく理にかなっているんだなと改めて思いました。

そして縫い目を目立たせない和裁の技術は本当に素晴らしいです。
木綿着物なら練習で自分でも縫えますが、仕立ては着付けにも大きく響きます。
正絹の着物やお気に入りのもの、フォーマルなものはちゃんと和裁士さんにお願いしたいと思いました。

ミシンで着物を作るのと思ったよりも大変でしたが、自分が着るものを作るのは出来上がるまで楽しかったです。
課題は裁断なので、パターン使いがもう少し上手くなったらまた作ってみたいと思います。
着物や浴衣を作る本もいろいろ出ているので、他と比べてみるのも良いですね。